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日本で大企業勤務経験があり、かつ日米両国で一社ずつ起業した経験があるアメリカ人です。
両社とも小さいままで鳴かず飛ばずで成功はしていませんが、倒産していないので失敗というわけでもありません。私が感じた違いをいくつか書きます。
(a) 米国ではVCが出資と共に経験豊富なアドバイザーを数人アサインしてくれる。 アドバイザーは起業で成功し、働かなくても生きていける技術者やマーケターなど。 起業して成功を収めてる人達であるだけに経験豊富で能力も高いため助言が適切。 優秀な早期リタイア組が多いのは起業が多い地域に限られるのではないだろうか。 日本でもアドバイザーはつくが、一級の技術者やマーケターが多い印象はない。
(b) 米国では大企業が研究開発をしないとは言わないないが、ベンチャーを買収する ことで技術調達することが多い。ベンチャーにとっては上場以外にも魅力的な 出口戦略の種類が多いことを意味する。日本の大企業は自社で研究開発をすることを 好む。
(c) 英語であることと世界最大の消費地であることから、米国の動向は世界各国から 注目される。このため米国発の技術やサービスは世界各国の人の目に止まりやすく 世界展開が容易。このような事情からVCにとって資金回収のメドが立ちやすく、 それ以前にそもそもVCにお金が集まりやすい。
(d) 日本でIT系の若者が東京などの都市圏に行きたがる傾向が強いのと同様、 シリコンバレーには世界中から技術者が集まってくる。そのためベンチャーは VCから出資を取り付けさえすれば優秀な技術者を集めることができる。 日本中から東京を目指す技術者達と、世界中からシリコンバレーを目指す技術者達で、 母集団の大きさが違う。
(e) 日本では技術者は二級市民みたいに低く見られがちだが、シリコンバレーでは 技術者は相当な厚遇を受ける。この背景には、企業の一存で簡単に従業員を 解雇できる法体系である反面、従業員も簡単に転職できるという社会環境が あるため、優秀な技術者をつなぎとめておく手段を講じる必要がある。甘やかす ほどの厚遇が未来永劫持続するわけはないが、全体として機能している間は 続くだろう。
日本で起業したいたとき、VCが「日本は大企業が優秀な人材を飼い殺しにしている」と嘆いていました。飼い殺しというのはVCからの主観的な表現でしょう。しかし、日米両国の社会を比較すれば、単に米国でベンチャーがやっているような研究開発を、日本では大企業などが行っているだけで、全体として見れば持続的に技術が進歩していっているのはどちらも同じではないかと思います。
興味深いお話です。
(b)についてですが、私見では日本人技術者はロマンティックでビッグプロジェクトを好む傾向があるようです。
(c)、(d)は規模の問題ですが、(a)はアドバイザーたりえる成功者の絶対数が少ないということでしょうか。であればこれもそうだと思います。
米国ではベンチャーから大企業というパスはどうでしょう。日本でもないわけではないのですが、非常に少ないようです。
ビッグプロジェクトというのは分かる気がしますね。こちら(米国)で、ビッグプロジェクトを好む人が少ないとは言いませんが、小さいプロジェクトで満足という人が多数いるのは事実です。大企業に買収してもらうことを目指し、大きなサービスの歯車のひとつを開発する、といった形ですね。
(a) に関してですが、そのとおりです。功成り名遂げた老齢期の成功者ではなく、30代から40代で最新の技術や動向に完全に精通しているアドバイザー達ですね。彼らが適切な助言をして新しいベンチャーを成功へと導き、さらに成功者が早期リタイアしてアドバイザ
(e)は江戸中期(18世紀前半)から明治維新期にかけて、過剰が慢性化していた人口に仕事と食糧を与えるために、農業(による食糧生産)を優先し技術開発(による効率化)を抑制する政策を取らざるを得なかった歴史背景と、日本の土着宗教である神道の教義の不幸な巡り合わせから、技術に関わる人を蔑視する風潮が育まれてしまった(ただしこの風潮は東アジア全般大なり小なりある)のと、明治期に近代国家としての体制を構築した人達が文系が理工系を支配し搾取することを良しとしてしまったことが文化的に大きい。
#その一人が日本の最高額紙幣の肖像になっているようでは期待はできないかも
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell
日米の起業文化に関する雑感 (スコア:2, 興味深い)
日本で大企業勤務経験があり、
かつ日米両国で一社ずつ起業した経験があるアメリカ人です。
両社とも小さいままで鳴かず飛ばずで成功はしていませんが、
倒産していないので失敗というわけでもありません。
私が感じた違いをいくつか書きます。
(a) 米国ではVCが出資と共に経験豊富なアドバイザーを数人アサインしてくれる。
アドバイザーは起業で成功し、働かなくても生きていける技術者やマーケターなど。
起業して成功を収めてる人達であるだけに経験豊富で能力も高いため助言が適切。
優秀な早期リタイア組が多いのは起業が多い地域に限られるのではないだろうか。
日本でもアドバイザーはつくが、一級の技術者やマーケターが多い印象はない。
(b) 米国では大企業が研究開発をしないとは言わないないが、ベンチャーを買収する
ことで技術調達することが多い。ベンチャーにとっては上場以外にも魅力的な
出口戦略の種類が多いことを意味する。日本の大企業は自社で研究開発をすることを
好む。
(c) 英語であることと世界最大の消費地であることから、米国の動向は世界各国から
注目される。このため米国発の技術やサービスは世界各国の人の目に止まりやすく
世界展開が容易。このような事情からVCにとって資金回収のメドが立ちやすく、
それ以前にそもそもVCにお金が集まりやすい。
(d) 日本でIT系の若者が東京などの都市圏に行きたがる傾向が強いのと同様、
シリコンバレーには世界中から技術者が集まってくる。そのためベンチャーは
VCから出資を取り付けさえすれば優秀な技術者を集めることができる。
日本中から東京を目指す技術者達と、世界中からシリコンバレーを目指す技術者達で、
母集団の大きさが違う。
(e) 日本では技術者は二級市民みたいに低く見られがちだが、シリコンバレーでは
技術者は相当な厚遇を受ける。この背景には、企業の一存で簡単に従業員を
解雇できる法体系である反面、従業員も簡単に転職できるという社会環境が
あるため、優秀な技術者をつなぎとめておく手段を講じる必要がある。甘やかす
ほどの厚遇が未来永劫持続するわけはないが、全体として機能している間は
続くだろう。
日本で起業したいたとき、VCが「日本は大企業が優秀な人材を飼い殺しにしている」
と嘆いていました。飼い殺しというのはVCからの主観的な表現でしょう。しかし、
日米両国の社会を比較すれば、単に米国でベンチャーがやっているような研究開発を、
日本では大企業などが行っているだけで、全体として見れば持続的に技術が進歩して
いっているのはどちらも同じではないかと思います。
Re: (スコア:0)
興味深いお話です。
(b)についてですが、私見では日本人技術者はロマンティックでビッグプロジェクトを好む傾向があるようです。
(c)、(d)は規模の問題ですが、(a)はアドバイザーたりえる成功者の絶対数が少ないということでしょうか。であればこれもそうだと思います。
米国ではベンチャーから大企業というパスはどうでしょう。日本でもないわけではないのですが、非常に少ないようです。
Re: (スコア:0)
ビッグプロジェクトというのは分かる気がしますね。こちら(米国)で、ビッグ
プロジェクトを好む人が少ないとは言いませんが、小さいプロジェクトで満足という
人が多数いるのは事実です。大企業に買収してもらうことを目指し、大きなサービスの
歯車のひとつを開発する、といった形ですね。
(a) に関してですが、そのとおりです。功成り名遂げた老齢期の成功者ではなく、
30代から40代で最新の技術や動向に完全に精通しているアドバイザー達ですね。
彼らが適切な助言をして新しいベンチャーを成功へと導き、さらに成功者が早期リタイア
してアドバイザ
Re: (スコア:0)
(e)は江戸中期(18世紀前半)から明治維新期にかけて、過剰が慢性化していた人口に仕事と食糧を与えるために、農業(による食糧生産)を優先し技術開発(による効率化)を抑制する政策を取らざるを得なかった歴史背景と、日本の土着宗教である神道の教義の不幸な巡り合わせから、技術に関わる人を蔑視する風潮が育まれてしまった(ただしこの風潮は東アジア全般大なり小なりある)のと、明治期に近代国家としての体制を構築した人達が文系が理工系を支配し搾取することを良しとしてしまったことが文化的に大きい。
#その一人が日本の最高額紙幣の肖像になっているようでは期待はできないかも